出演者

いよいよ本番…(10月13日)


 

 

松下アキラ Dr.Leon

この作品に描かれている事が、事故・事件の全てではない。
もっと多くの関わった人達がいて、もっと多くの側面がある。
これはある一面の、ある瞬間を切り取ったものだ。
これを観て何かを感じていただき、ふだん何気なく乗っている飛行機と
空の安全について、考えるキッカケになればと思います。
メンバー・スタッフ全員が全力で取り組んだこの作品を、
一人でも多くの方に観ていただきたいと願っています。
お待ちしております。

本番が迫ってくると、美術さん・音響さん・照明さん・進行さん、
と多くの裏方さんが稽古時にやってきます。
どんな舞台でもそうですが、多くの方々に支えられて作品ができあがります。
しかし、この作品はドキュメンタリーとして、ボイスレコーダーを再現するので、
通常の舞台よりも、細部に渡るこだわりを要求されます。
おそらくスタッフは、その要求に可能な限り答えてくれることでしょう。
それに見合う作品にするのは、板に立つ側の責任。
油断なく。
   
檜山 豊 与座嘉秋
今までの芝居と比べて、台詞の量も出ている時間も極端に短い。
しかし疲労度は2時間出ずっぱりの芝居より上である。
理由はわからないが、檜山だけでなく、共演者たちも
同じ事を言っていたので、何かあるのは間違いない。
ハッピーエンドのフィクションドラマではなく、
短い時間に凝縮された、真実の物語を体感してください。
今回の舞台は、実際にあった事故・事件です。
現実に起きた事を演じるのは、見る方も演じる方も大変だと思います。
しかし、この舞台を見て少しでも何かを感じて頂ければと思います。
   
吉川正洋 島田陽介
最初は混乱しながら稽古をしていました。ただ時間を重ねていくうちに、
なぜか日頃の生活が愛しくなっていきました。
演じているときは説明のつかない感情がたくさん渦巻きますが、
何十年かしてそれを言葉に出来ればいいなと思います。
もうすぐ本番です。7月から稽古が始まり、
羽田空港管制塔や安全啓発センターの見学、
御巣鷹山慰霊登山などを行いました。今後二度と悲惨な事故が起きないよう
空の安全が守られ、皆が安心して飛行機を利用出来ることを願います。
そしてその安全を見えないところで支えている、パイロットや管制官をはじめ
多くの人たちの思いも伝えられたらと思っています。
   
東海林九玲穂 田中 学
公演がいよいよ始まります。
航空機のことだけではなく、普段生活していること、生きていることの意味を
ふと考えてしまうような、そんな内容になっているのではないかと思います。
ぜひ何かを感じていただければ…。
今回、多くの関係者の方々に協力して頂き、
事故について詳しく知る事が出来ました。
知れば知るほど胸が苦しく…複雑な気持ちになり…
約三ヶ月間、この気持ちを大切に稽古を行ってきました。
自分自身、納得いく芝居ができるよう頑張ります。
   
牛房やよい (制作) 雪竹弘一 (作・演出)
とうとう本番です。
芝居のメッセージが、お客様に伝わることを願いながら、
今稽古の様子をみつめています。
怒涛の日々でしたが、いよいよです。
役者のみなさん、スタッフのみなさん、もうひとふんばりです。
お客様にもぜひ、なにかを感じ取っていただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。






9月某日 御巣鷹の尾根へ…


慰霊の園

U字溝(中央の窪み)


スゲノ沢

 

 

松下アキラ Dr.Leon

駐車場にバイクを停めて登山口を臨めば、そこはうっそうと繁った
森林の中を貫く、さながらトンネルのようだった。
過去に遡るタイムトンネルなのか……
一歩二歩と踏み出せば、次第に涼しさが増し、心地良いというより、
身も心も引き締まる。
清流沿いを縫うように蛇行した登山道を、息を切らしながら登る。
現在は整備されているが、道のない当時は、このとてつもない傾斜の山を
捜索隊をはじめ、遺体や機体の回収に関わった人達が、
何度も登り降りしたのだ。
その苦労は、想像を絶する。
やがて墜落現場に到着。わずかなスペースが整地され

『昇魂之碑』 が建てられている。
遠く隣の尾根には、墜落する直前、機体の右主翼が
当たって削られた跡、 通称 『U字溝』……
一度隣の尾根にぶつかり、さらにここまで飛んで来て落ちたのだ。
それは墜落というより、まさに激突だ。
怖かったでしょう。
痛かったでしょう。
碑に向かって、天に向かって、静かに手を合わせる。
ここからさらに上へ登ると、ちぎれた木々や焼け焦げた大木など、
25年経ってなお、傷跡が広がっている。
そして、広く点在する墓標……
激しく胸が締め付けられた。
このような事故を、二度と起こしてはならない。
空の安全を切に願う。

驚いたのは、夏休みが明けた平日なのに、多くの方々とすれ違ったことです。
この事故の大きさ、重さを知らされます。
一時間ほどで 『昇魂之碑』 に到着。
この周辺で多くの命が奪われました。
僕に出来ることは、何もありません。
安らかに、と祈るだけです。
碑の横に 『空の安全を祈って』 と印された鐘があります。
そこに佇んでいるあいだ何度か、自衛隊機らしい飛行機が
上空を通過するエンジン音を聞きました。
鐘の音に、飛行機の音が重ったとき
いろいろな思いが巡り、何か不思議な力で地面が消えて、
山の空中にいるかのような錯覚を覚えたのです。
下山途中、事故の際、生存者がいた 『スゲノ沢』 へ。
『昇魂の碑』 から随分と離れています。
いかに事故が大きかったのかを、目の当たりにします。
もちろん、ここでも多くの命が奪われたため、墓標もたくさんあります。
窪地のようになっていて、水の流れが何かの吐息のように感じられます。
『神聖』 という言葉が符合します。
再度の合掌……
今回、事故現場を肌で感じたことで、
空の安全を担う仕事の重さを、再確認させられたのでした。
   
田中 学 雪竹弘一 (作・演出)
1985年8月12日19時頃だったと思います。
テレビのテロップ速報 『123便が消息不明…』
当時の自分は、まだ小学生でしたが、今でも思い出せる衝撃的な事故。
翌朝、墜落現場が中継され、多くの方が亡くなった報道を聞き
驚きと恐怖を感じていました……あれから25年……御巣鷹の尾根へ。
険しい山道…事故当時、道など無いこの山中で
捜索や救助活動がどれほど困難で、大変なものだったか、思い知らされます。
そして 『昇魂之碑』 へ。
見渡せば見渡すほど、言葉にすることができない。
やわらかい風すら、何かを語りかけている気がする。
自分は何ができるのか……
それとも、何もしないほうがいいのか……
今回感じたことを大切に、何かを残せるよう精一杯頑張ろう
と改めて思いました。
深く険しい山の中に点在する、たくさんの墓標……
ただただ、手を合わせることしかできなかった。
この事故の資料や書籍を数多く読んだにもかかわらず、
何も考えることができなかった。
しかし、ここは安全を願う聖地……
伝えていくことが、なによりも大切なこと。
帰り道、山に眠るすべての方に、誓いました。
   






8月某日 羽田空港 管制塔・レーダールーム見学
日本航空 安全啓発センター見学

出演者
出演者

 

 

松下アキラ Dr.Leon
安全啓発センターに展示されている、123便の垂直尾翼を
間近でみるとその大きさに驚く。
その垂直尾翼から推測される飛行機全体は、とてつもなく
大きいと感じさせられた。
普段、飛行機を見るのは遠くから、あるいは何気なく乗り込んだ内部くらい。
その巨大な飛行機の小さな空間が操縦席。まるで車の運転席のような……
しかし操縦席の後ろには巨大な機体と、たくさんの乗客がいる。
そしてレーダー上の飛行機は、画面の中の点でしかない。
画面の中には、点があふれている。
関東上空には、こんなに飛行機が飛んでるのか……
ただの点だが、それは巨大な飛行機であり、たくさんの命。
パイロットも管制官も、空間を把握する能力が求められる。
あらためて、その責任の重さと能力の高さを思い知らされた。
安全啓発センターの一角。
乗客の遺書の字が激しく乱れていた。
どれだけの不規則で大きな揺れが生じたのか。
どれだけの恐怖と、家族への思いが生じたのか。
それは想像する事ができない。
決して、風化させてはならない。
多くの飛行機がスムーズに離着陸できるよう、調整していくのが管制官。
僕は、そのコントロールはコンピュータが管理していて、
人間は非常時に備えてのチェックだけだと思っていましたが、
実際に、管制官がすべての機をコントロールしていることを知り、驚きました。
指示を出して操作していくレーダーの画面は、さながらゲームのようです。
しかし、そこにはゲームオーバーやリセットは絶対に存在しません。
そのことは、直接、多数の人命に影響を及ぼすことになるのですから……
安全啓発センターで見た、乗客の遺書。
その場にあったメモ帳や封筒に綴られた乱れた文字……
それは生々しく、自らの光が消えるかもしれないという恐怖と覚悟、
そして、家族のことを強く思う気持ちに溢れていました。
目で追っていくだけで、締めつけられる思いでした。
“この事故を伝えていくことの大切さ” を胸に刻みました。
   
与座嘉秋 島田陽介
安全啓発センターに行った。ここは123便事故に関する資料が
たくさん展示されていた。
自分が子供の頃ニュースを見て、なんとなく知っていたような気がしていたが、
ここに来て何も知らなかった自分にショックを受けた。
実際の座席シートの歪み、遺書、遺族の方の文集……
どれもがリアルすぎて全部受け止められなかった。
少しでもこの事故の事を、多くの方に知って頂く事が、
今回の舞台の一番の意味なんだと感じた。
羽田の管制塔・レーダールームを見学し、
管制官の仕事がどのようなものなのか、
詳しいお話を伺え、たいへん勉強になった。
安全啓発センターでは、航空機事故の悲惨さ、
事故で亡くなられた人達の恐怖や悲しみが、ひしひしと伝わってきた。
最後まで飛行機を無事に着陸させようと頑張ったパイロットたち……
きっと無事に着陸すると信じて仕事をまっとうした客室乗務員……
必ず無事に戻ってくると祈りながら交信していた管制官……
二度と事故を起こしてはいけないという、強い意志と安全への取り組み。
見学して、その思いが強く伝わった。この意志を持って、演じていきたい。
   
東海林九玲穂 田中 学

羽田近辺に出かけるとき、空港の近くは、さすがにたくさんの
飛行機が飛んでいるな、と思っていました。
今回、管制塔から航空機の離着陸を見て、本当ににたくさん……
というか、ひっきりなしに飛んでいるのが、よく分かりました。

安全啓発センターの見学では、事故の衝撃、そして、
航空機を作ったのも中に乗っているのも人間なのだ、
ということが伝わってきました。
今日見たもの、聞いたことを、深く心に刻みたいと思います。

東京上空は飛行禁止区域のため、あまり航空機が
飛んでいないと思っていました。
しかし、レーダー画面上には、無数の航空機が表示され続けていました。
日本全域で表示させて頂いた時には、
日本が航空機で埋め尽くされていました。
本当に驚いて、大きな声を出してしまいそうでした。
安全啓発センターで、123便の機体の一部・遺品を見ていると……
哀しさと恐怖が伝わり、胸が苦しくなりました。
今回演じるにあたり、気持ちが更に引き締まりました。
貴重な体験をさせて頂き、案内してくださった皆様方
本当にありがとうございました。
   
雪竹弘一 (作・演出)  
管制官の方たちを見ていると、不断の勉強、ストレスの連続のなかで
お仕事をされているのが、静かに伝わってきました。
安全啓発センターでは、どうにも表現しがたい無念さ、
風化の恐ろしさを感じました。
今回の見学にあたり、ご尽力いただいた関係者の皆様に
厚く御礼申し上げます。
 
   






7月某日 初顔合わせ&勉強会


出演者
出演者
出演者

出演者
出演者

 

 

松下アキラ Dr.Leon
ひたすら奥が深い。
私にとっては、専門用語や基礎知識からして難解であり、
事故原因や事件の核心、また関わった操縦士や管制官の
心理などに至ると、
奥が深すぎて、ただただ呆然とするだけ……
空の安全を担う管制官と、乗客の命を預かる操縦士は、
どんなトラブルに遭遇しても、平常心で対処しなければならない。
その求められる尋常でない精神力……
決して華やかな職業ではないことを感じさせられる。
実際に起きた三つの事件・事故の、事故調査報告書と
ボイスレコーダーから起こした台本。
真実の物語の一部分を、まったく脚色する事なく再現するという試み……
やり甲斐を感じています。
初回の顔合わせで、驚く! 台本が渡されるのです。
いままで、何度か芝居関係の場に出席していますが、
再演を除いて、顔合わせ時点で台本があがっているのは、稀なこと。
そして、初回・2回目と勉強会……
ホワイトボードにマーカーで文字が書かれていきます。
少し前なら、カリ、カリと黒板が鳴る、と表現されるのでしょう。
「ではレオンさん、『航空機』 を英語で答えてください」 と
演出の方が質問してきます。
そう、試験を受けているのです。何年ぶりだろう? この感覚は……
芝居の稽古というより、専門学校の授業を受けているかのようです。
今回、リアリティーを求めて、操縦士や管制官の言葉は、
そのまま台本に落としこまれます。
この授業が、コンプリートな舞台に生かされるだろうと、信じています。
   
檜山 豊 与座嘉秋
顔合わせ…稽古を始めるにあたり、出演者やスタッフが集まる、
自己紹介的なもの。
もちろん、この芝居でも顔合わせをした。その時に感じた事がある。
今まで何度か芝居をしてきたが、この舞台は今までのモノとは明らかに違う。
一言でいうと 『異質』。どうなるか想像がつかない舞台は初めてだ。
ただ一つ確実なのは、最終日が俺の誕生日だって事だけだ。
僕は演出の雪竹さんに、今まで、いろんな空港に連れて行って頂きました。
ですから 「勉強会」 も、楽しみにしていました。
しかし今回の芝居の脚本を読んだ瞬間、その気持ちはすぐに、なくなりました。
僕がこの脚本を読んで、どう感じて、どう立ち回るのか……
ぜひ見にいらしてください。その目で確認してみてください!
   
吉川正洋 島田陽介
何が何だかわからぬまま、1回目2回目はひたすら勉強。
航空用語が脳髄にじゃんじゃか飛び込んできて、日頃は
鉄道のことばかり考えている僕の頭は大混乱でした。
まだ立ち稽古は始まりません。
早くやりたいような、でもまだやりたくないような微妙な心もち。
帰路はいつもしょぼくれて歩きます。
なんだろうな、悲しいな・・・・・・
揺れて帰ると生まれて2か月半の娘が笑っていました。
同時におならもしたけれど、いいや。
また来週も勉強勉強。

まずはひたすら知って、そして動きたいと思います。
僕は今のところ、まだV1にも達していないです。
(さっそく用語)
雪竹演出ではいつもの事だが、今回も読み合わせ稽古の前に、
勉強会とテストがあった。
とにかく細かい。こだわる……
今回も専門用語だらけの作品で、覚えるだけでも大変だ。
セリフの 「5W」 にこだわる事で、その役の 「1H」 を引き出す。
だから、とにかく勉強させられる。
個人でリサーチするのと違い 「5W」 が皆で共有出来る。
すべてにこだわる、雪竹演出の特徴の一つだろう。
   
東海林九玲穂 田中 学
外を歩いているとき、空を見上げると、遥か上空に
飛行機が飛んでいることがあります。
青い空に、白く小さな機体がゆっくり移動して行く様子は、
とてもゆったりしたものに見えます。
……が、実際は、かなりの大きさのものが、
ものすごいスピードで移動している。
そして操縦士と管制官の交信が、
とどまることなく、 やり取りされている……
でもやはり、空の高いところに見えるのは小さな飛行機で、
ゆったり飛んでいるように見えるから、不思議です。
自分が今までやってきた舞台は、
稽古序盤は読み合わせが中心ですが 雪竹さんの場合は、
まず勉強会から始まります。
多くの専門用語・知識が必要であり、
舞台背景も実際起こった出来事なので みなさんの苦労が伝わってきます。
また、操縦士・管制官の大変さを、ひしひしと感じました。
役者視点から見ると、松下アキラさんをはじめ、
経験豊富な皆さんと一緒に 出来る喜びも感じており、
一つ一つの動向から目が離せません。
まさに頑張りどころです。
現在、風も無く、視界も良好……「Cleared for take off !!」
そんな状態ではないでしょうか……
   
牛房やよい (制作) 雪竹弘一 (作・演出)
初顔合わせ……今回の出演者は素敵な方ばかり。
しかし何よりびっくりしたのは スタッフの面々。
小さな事務所の公演にもかかわらず、すごい方々が……
心強い。そして、ありがたい。“皆さん、いい芝居を…” と願う。
それも束の間、 雪竹さんの 「勉強会します !!」 の一声……
乗り越えるべき、大きな課題が立ちはだかる。
2度目の勉強会……英語・専門用語が飛び交う。
よく聞いていると、難しくない。
あくまでも時間をかければ、この段階なら、である。
様々な情報を受け、状況判断しながら瞬時に対応し、人の命を担う……
あらためて、多大な能力が必要な職業だと思う。
ある管制官は言いました……「ベストではなく、ベターの積み重ね」
あるパイロットは言いました……「この仕事を続けられて、本当に幸せです」
どちらも、たいへん重みのある言葉です。
みんなで勉強して、いい舞台を創りたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。


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