松下アキラ | Dr.Leon |
この作品に描かれている事が、事故・事件の全てではない。 |
本番が迫ってくると、美術さん・音響さん・照明さん・進行さん、 と多くの裏方さんが稽古時にやってきます。 どんな舞台でもそうですが、多くの方々に支えられて作品ができあがります。 しかし、この作品はドキュメンタリーとして、ボイスレコーダーを再現するので、 通常の舞台よりも、細部に渡るこだわりを要求されます。 おそらくスタッフは、その要求に可能な限り答えてくれることでしょう。 それに見合う作品にするのは、板に立つ側の責任。 油断なく。 |
檜山 豊 | 与座嘉秋 |
今までの芝居と比べて、台詞の量も出ている時間も極端に短い。 しかし疲労度は2時間出ずっぱりの芝居より上である。 理由はわからないが、檜山だけでなく、共演者たちも 同じ事を言っていたので、何かあるのは間違いない。 ハッピーエンドのフィクションドラマではなく、 短い時間に凝縮された、真実の物語を体感してください。 |
今回の舞台は、実際にあった事故・事件です。 現実に起きた事を演じるのは、見る方も演じる方も大変だと思います。 しかし、この舞台を見て少しでも何かを感じて頂ければと思います。 |
吉川正洋 | 島田陽介 |
最初は混乱しながら稽古をしていました。ただ時間を重ねていくうちに、 なぜか日頃の生活が愛しくなっていきました。 演じているときは説明のつかない感情がたくさん渦巻きますが、 何十年かしてそれを言葉に出来ればいいなと思います。 |
もうすぐ本番です。7月から稽古が始まり、 羽田空港管制塔や安全啓発センターの見学、 御巣鷹山慰霊登山などを行いました。今後二度と悲惨な事故が起きないよう 空の安全が守られ、皆が安心して飛行機を利用出来ることを願います。 そしてその安全を見えないところで支えている、パイロットや管制官をはじめ 多くの人たちの思いも伝えられたらと思っています。 |
東海林九玲穂 | 田中 学 |
公演がいよいよ始まります。 航空機のことだけではなく、普段生活していること、生きていることの意味を ふと考えてしまうような、そんな内容になっているのではないかと思います。 ぜひ何かを感じていただければ…。 |
今回、多くの関係者の方々に協力して頂き、 事故について詳しく知る事が出来ました。 知れば知るほど胸が苦しく…複雑な気持ちになり… 約三ヶ月間、この気持ちを大切に稽古を行ってきました。 自分自身、納得いく芝居ができるよう頑張ります。 |
牛房やよい (制作) | 雪竹弘一 (作・演出) |
とうとう本番です。 芝居のメッセージが、お客様に伝わることを願いながら、 今稽古の様子をみつめています。 |
怒涛の日々でしたが、いよいよです。 役者のみなさん、スタッフのみなさん、もうひとふんばりです。 お客様にもぜひ、なにかを感じ取っていただければと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。 |
慰霊の園 |
U字溝(中央の窪み) |
スゲノ沢 |
松下アキラ | Dr.Leon |
駐車場にバイクを停めて登山口を臨めば、そこはうっそうと繁った 『昇魂之碑』 が建てられている。 |
驚いたのは、夏休みが明けた平日なのに、多くの方々とすれ違ったことです。 この事故の大きさ、重さを知らされます。 一時間ほどで 『昇魂之碑』 に到着。 この周辺で多くの命が奪われました。 僕に出来ることは、何もありません。 安らかに、と祈るだけです。 碑の横に 『空の安全を祈って』 と印された鐘があります。 そこに佇んでいるあいだ何度か、自衛隊機らしい飛行機が 上空を通過するエンジン音を聞きました。 鐘の音に、飛行機の音が重ったとき いろいろな思いが巡り、何か不思議な力で地面が消えて、 山の空中にいるかのような錯覚を覚えたのです。 下山途中、事故の際、生存者がいた 『スゲノ沢』 へ。 『昇魂の碑』 から随分と離れています。 いかに事故が大きかったのかを、目の当たりにします。 もちろん、ここでも多くの命が奪われたため、墓標もたくさんあります。 窪地のようになっていて、水の流れが何かの吐息のように感じられます。 『神聖』 という言葉が符合します。 再度の合掌…… 今回、事故現場を肌で感じたことで、 空の安全を担う仕事の重さを、再確認させられたのでした。 |
田中 学 | 雪竹弘一 (作・演出) |
1985年8月12日19時頃だったと思います。 テレビのテロップ速報 『123便が消息不明…』 当時の自分は、まだ小学生でしたが、今でも思い出せる衝撃的な事故。 翌朝、墜落現場が中継され、多くの方が亡くなった報道を聞き 驚きと恐怖を感じていました……あれから25年……御巣鷹の尾根へ。 険しい山道…事故当時、道など無いこの山中で 捜索や救助活動がどれほど困難で、大変なものだったか、思い知らされます。 そして 『昇魂之碑』 へ。 見渡せば見渡すほど、言葉にすることができない。 やわらかい風すら、何かを語りかけている気がする。 自分は何ができるのか…… それとも、何もしないほうがいいのか…… 今回感じたことを大切に、何かを残せるよう精一杯頑張ろう と改めて思いました。 |
深く険しい山の中に点在する、たくさんの墓標…… ただただ、手を合わせることしかできなかった。 この事故の資料や書籍を数多く読んだにもかかわらず、 何も考えることができなかった。 しかし、ここは安全を願う聖地…… 伝えていくことが、なによりも大切なこと。 帰り道、山に眠るすべての方に、誓いました。 |
松下アキラ | Dr.Leon |
安全啓発センターに展示されている、123便の垂直尾翼を 間近でみるとその大きさに驚く。 その垂直尾翼から推測される飛行機全体は、とてつもなく 大きいと感じさせられた。 普段、飛行機を見るのは遠くから、あるいは何気なく乗り込んだ内部くらい。 その巨大な飛行機の小さな空間が操縦席。まるで車の運転席のような…… しかし操縦席の後ろには巨大な機体と、たくさんの乗客がいる。 そしてレーダー上の飛行機は、画面の中の点でしかない。 画面の中には、点があふれている。 関東上空には、こんなに飛行機が飛んでるのか…… ただの点だが、それは巨大な飛行機であり、たくさんの命。 パイロットも管制官も、空間を把握する能力が求められる。 あらためて、その責任の重さと能力の高さを思い知らされた。 安全啓発センターの一角。 乗客の遺書の字が激しく乱れていた。 どれだけの不規則で大きな揺れが生じたのか。 どれだけの恐怖と、家族への思いが生じたのか。 それは想像する事ができない。 決して、風化させてはならない。 |
多くの飛行機がスムーズに離着陸できるよう、調整していくのが管制官。 僕は、そのコントロールはコンピュータが管理していて、 人間は非常時に備えてのチェックだけだと思っていましたが、 実際に、管制官がすべての機をコントロールしていることを知り、驚きました。 指示を出して操作していくレーダーの画面は、さながらゲームのようです。 しかし、そこにはゲームオーバーやリセットは絶対に存在しません。 そのことは、直接、多数の人命に影響を及ぼすことになるのですから…… 安全啓発センターで見た、乗客の遺書。 その場にあったメモ帳や封筒に綴られた乱れた文字…… それは生々しく、自らの光が消えるかもしれないという恐怖と覚悟、 そして、家族のことを強く思う気持ちに溢れていました。 目で追っていくだけで、締めつけられる思いでした。 “この事故を伝えていくことの大切さ” を胸に刻みました。 |
与座嘉秋 | 島田陽介 |
安全啓発センターに行った。ここは123便事故に関する資料が たくさん展示されていた。 自分が子供の頃ニュースを見て、なんとなく知っていたような気がしていたが、 ここに来て何も知らなかった自分にショックを受けた。 実際の座席シートの歪み、遺書、遺族の方の文集…… どれもがリアルすぎて全部受け止められなかった。 少しでもこの事故の事を、多くの方に知って頂く事が、 今回の舞台の一番の意味なんだと感じた。 |
羽田の管制塔・レーダールームを見学し、 管制官の仕事がどのようなものなのか、 詳しいお話を伺え、たいへん勉強になった。 安全啓発センターでは、航空機事故の悲惨さ、 事故で亡くなられた人達の恐怖や悲しみが、ひしひしと伝わってきた。 最後まで飛行機を無事に着陸させようと頑張ったパイロットたち…… きっと無事に着陸すると信じて仕事をまっとうした客室乗務員…… 必ず無事に戻ってくると祈りながら交信していた管制官…… 二度と事故を起こしてはいけないという、強い意志と安全への取り組み。 見学して、その思いが強く伝わった。この意志を持って、演じていきたい。 |
東海林九玲穂 | 田中 学 |
羽田近辺に出かけるとき、空港の近くは、さすがにたくさんの 安全啓発センターの見学では、事故の衝撃、そして、 |
東京上空は飛行禁止区域のため、あまり航空機が 飛んでいないと思っていました。 しかし、レーダー画面上には、無数の航空機が表示され続けていました。 日本全域で表示させて頂いた時には、 日本が航空機で埋め尽くされていました。 本当に驚いて、大きな声を出してしまいそうでした。 安全啓発センターで、123便の機体の一部・遺品を見ていると…… 哀しさと恐怖が伝わり、胸が苦しくなりました。 今回演じるにあたり、気持ちが更に引き締まりました。 貴重な体験をさせて頂き、案内してくださった皆様方 本当にありがとうございました。 |
雪竹弘一 (作・演出) | |
管制官の方たちを見ていると、不断の勉強、ストレスの連続のなかで お仕事をされているのが、静かに伝わってきました。 安全啓発センターでは、どうにも表現しがたい無念さ、 風化の恐ろしさを感じました。 今回の見学にあたり、ご尽力いただいた関係者の皆様に 厚く御礼申し上げます。 |
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松下アキラ | Dr.Leon |
ひたすら奥が深い。 私にとっては、専門用語や基礎知識からして難解であり、 事故原因や事件の核心、また関わった操縦士や管制官の 心理などに至ると、 奥が深すぎて、ただただ呆然とするだけ…… 空の安全を担う管制官と、乗客の命を預かる操縦士は、 どんなトラブルに遭遇しても、平常心で対処しなければならない。 その求められる尋常でない精神力…… 決して華やかな職業ではないことを感じさせられる。 実際に起きた三つの事件・事故の、事故調査報告書と ボイスレコーダーから起こした台本。 真実の物語の一部分を、まったく脚色する事なく再現するという試み…… やり甲斐を感じています。 |
初回の顔合わせで、驚く! 台本が渡されるのです。 いままで、何度か芝居関係の場に出席していますが、 再演を除いて、顔合わせ時点で台本があがっているのは、稀なこと。 そして、初回・2回目と勉強会…… ホワイトボードにマーカーで文字が書かれていきます。 少し前なら、カリ、カリと黒板が鳴る、と表現されるのでしょう。 「ではレオンさん、『航空機』 を英語で答えてください」 と 演出の方が質問してきます。 そう、試験を受けているのです。何年ぶりだろう? この感覚は…… 芝居の稽古というより、専門学校の授業を受けているかのようです。 今回、リアリティーを求めて、操縦士や管制官の言葉は、 そのまま台本に落としこまれます。 この授業が、コンプリートな舞台に生かされるだろうと、信じています。 |
檜山 豊 | 与座嘉秋 |
顔合わせ…稽古を始めるにあたり、出演者やスタッフが集まる、 自己紹介的なもの。 もちろん、この芝居でも顔合わせをした。その時に感じた事がある。 今まで何度か芝居をしてきたが、この舞台は今までのモノとは明らかに違う。 一言でいうと 『異質』。どうなるか想像がつかない舞台は初めてだ。 ただ一つ確実なのは、最終日が俺の誕生日だって事だけだ。 |
僕は演出の雪竹さんに、今まで、いろんな空港に連れて行って頂きました。 ですから 「勉強会」 も、楽しみにしていました。 しかし今回の芝居の脚本を読んだ瞬間、その気持ちはすぐに、なくなりました。 僕がこの脚本を読んで、どう感じて、どう立ち回るのか…… ぜひ見にいらしてください。その目で確認してみてください! |
吉川正洋 | 島田陽介 |
何が何だかわからぬまま、1回目2回目はひたすら勉強。 航空用語が脳髄にじゃんじゃか飛び込んできて、日頃は 鉄道のことばかり考えている僕の頭は大混乱でした。 まだ立ち稽古は始まりません。 早くやりたいような、でもまだやりたくないような微妙な心もち。 帰路はいつもしょぼくれて歩きます。 なんだろうな、悲しいな・・・・・・ 揺れて帰ると生まれて2か月半の娘が笑っていました。 同時におならもしたけれど、いいや。 また来週も勉強勉強。 まずはひたすら知って、そして動きたいと思います。 僕は今のところ、まだV1にも達していないです。 (さっそく用語) |
雪竹演出ではいつもの事だが、今回も読み合わせ稽古の前に、 勉強会とテストがあった。 とにかく細かい。こだわる…… 今回も専門用語だらけの作品で、覚えるだけでも大変だ。 セリフの 「5W」 にこだわる事で、その役の 「1H」 を引き出す。 だから、とにかく勉強させられる。 個人でリサーチするのと違い 「5W」 が皆で共有出来る。 すべてにこだわる、雪竹演出の特徴の一つだろう。 |
東海林九玲穂 | 田中 学 |
外を歩いているとき、空を見上げると、遥か上空に 飛行機が飛んでいることがあります。 青い空に、白く小さな機体がゆっくり移動して行く様子は、 とてもゆったりしたものに見えます。 ……が、実際は、かなりの大きさのものが、 ものすごいスピードで移動している。 そして操縦士と管制官の交信が、 とどまることなく、 やり取りされている…… でもやはり、空の高いところに見えるのは小さな飛行機で、 ゆったり飛んでいるように見えるから、不思議です。 |
自分が今までやってきた舞台は、 稽古序盤は読み合わせが中心ですが 雪竹さんの場合は、 まず勉強会から始まります。 多くの専門用語・知識が必要であり、 舞台背景も実際起こった出来事なので みなさんの苦労が伝わってきます。 また、操縦士・管制官の大変さを、ひしひしと感じました。 役者視点から見ると、松下アキラさんをはじめ、 経験豊富な皆さんと一緒に 出来る喜びも感じており、 一つ一つの動向から目が離せません。 まさに頑張りどころです。 現在、風も無く、視界も良好……「Cleared for take off !!」 そんな状態ではないでしょうか…… |
牛房やよい (制作) | 雪竹弘一 (作・演出) |
初顔合わせ……今回の出演者は素敵な方ばかり。 しかし何よりびっくりしたのは スタッフの面々。 小さな事務所の公演にもかかわらず、すごい方々が…… 心強い。そして、ありがたい。“皆さん、いい芝居を…” と願う。 それも束の間、 雪竹さんの 「勉強会します !!」 の一声…… 乗り越えるべき、大きな課題が立ちはだかる。 2度目の勉強会……英語・専門用語が飛び交う。 よく聞いていると、難しくない。 あくまでも時間をかければ、この段階なら、である。 様々な情報を受け、状況判断しながら瞬時に対応し、人の命を担う…… あらためて、多大な能力が必要な職業だと思う。 |
ある管制官は言いました……「ベストではなく、ベターの積み重ね」 あるパイロットは言いました……「この仕事を続けられて、本当に幸せです」 どちらも、たいへん重みのある言葉です。 みんなで勉強して、いい舞台を創りたいと思います。 どうぞ、よろしくお願いいたします。 |